その日、深夜の127号線をひたすら車を走らせていた。館山を通 過したのは午前3時を少し廻った頃だった。館山から三芳村への途中で道に迷ったが、それでも殆ど磁力で引き寄せられるようにここに来てしまった。 満天の星空の下に三宅栄の発明研究所は佇んでいた。路上に突き出した鉄骨から垂れ下がったチェーンブロックは重力に身を任せたまま、エレベーターの塔屋はピラミッドのように静かだった。銀色の亜鉛メッキの鉄板屋根を走る線路さえ一切の活動から解放され、 建物全体が深い眠りの中にあるように思えた。 夜が明けるまでの時間を車の中で待つことにして、道端に留めた車に戻りシートを倒した。