こんなことを考えていると、道路側の扉があいて一人の小柄な老人が現れた。三宅栄氏 だった。彼は僕達が気になった様子で、引き出した自転車に乗ることを躊躇していた。 僅かだったが時間に空隙が出来た。気難しそうに見えたが、今なら話しかけられそうだった。見学の希望を伝えると、しばらく渋っていたが、少しの時間なら見せても良いということになった。彼は、車を道路の反対側の空地に移動するように指示し、それから建物の中へと案内してくれた。