中に入ると、すぐに2階の屋根まで続いている線路を見つけた。たまらず登ろうとすると、建物内部は危険なので、ここから先は彼の後からついて来るようにと告げられた。 1階の床は土間のままで、川に向かって傾斜している。川に近付くほど勾配は急になって、最後はそのまま川に落ち込んでいた。見回すと、1階にはたくさんの工作機械が設置されている。 彼は、各々の機械がどんな機能をもつのか説明し、幾つかのものについては実際に稼動させ、鉄板などを加工してみせた。これらの機械の殆どは、一時代も二時代も前のもので、今日の機械が新幹線だとすると蒸気機関車のようなものに見えた。筋肉のある機械で、力が形となって現れているものばかりだったが、三宅老人はこれらの機械をひどく気に入っているようだった。